精神医学を学ぼう -DSM-5ってなぁに?-
このシリーズでは、精神医学についての知識をまとめていきたいと思います。(僕個人の学びのアウトプットとしても使っていきます。より具体的な詳細が知りたい方は精神科の先生にぜひ質問してみましょう!)
もくじ
どうやって診断を受けるのか
現在の臨床精神医学では多義にわたる診断名が使用されております。
代表的な診断名には「統合失調症」「うつ病」「発達障害」などがあると思いますが、その他にも多くの精神疾患が存在しており分類されています。
数多くある精神疾患の適切な(もっともらしい)診断をするためには診断の基準が必要であり、その基準をまとめたものに「DSMシリーズ」と「ICDシリーズ」があります。
2つの診断基準
精神疾患の分類と診断2つのマニュアルが存在します。
DSM‐5(2014年)
DSMは「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」の頭文字をとった略称であり、現在では第5版が日本精神神経学会より公表されています。
この診断マニュアルは、アメリカ精神医学会「American Psychiatric Association」が精神及び心の病気に関する診断基準をまとめたものとなります。
第5版では従来の構成から大きく改変が行われましたが、特に、一部の精神疾患の概念においてこれまで「○○障害」と表記されていたものが「○○症(群)」といった訳に変更され多ことが特徴的です。
精神疾患が22の大きなカテゴリーに分けられており、されに各カテゴリーの中でより詳細に各疾患が分類されています。
ICD‐10(1990年)
一方、ICDは「International Statistical Classification of Diseases」の略称であり、「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」と訳されます。
この診断マニュアルは世界保健機構(WHO)が死因や疾病の国際的な統計基準として公表している分で、精神疾患以外の疾患も含めた、すべての疾患を対象としたマニュアルとなっています。
現在では第11版がWHOより公表されていますが、日本ではまだ適用に向けての準備段階のため第10版が使用されています。
また、WHOの加盟国においては疾患の診断にICDを使用することが義務づけられていることから、日本においても疾患統計の報告を行ったり、行政的な認定などの基準にはICDが使用されています。
DSMとICDの違いはなに?
両診断マニュアルはおおむね共通したものとなっていますが、分類の仕方や診断名が違うなどがあります。
例えば、行動面において多動性・衝動性・不注意が見られるとされる「ADHD」の場合では
DSM-5
カテゴリー「神経発達症群」
診断名「注意欠如・多動症」
カテゴリー「小児(児童)期及び青年期に通 常発症する行動及び情緒の障害」
診断名は「注意欠陥多動障害」
となり、分類されるカテゴリーや名称が異なってきます。
現在日本で使用されている、診断マニュアルにおいてはDSMシリーズの方が直近であり、疾患の「見方・捉え方」という点においてはDSMを参照した方が良いと個人的には考えています。
まとめ
- 精神疾患の診断マニュアルにはDSMとICDがある。
- 2つの診断マニュアルは作成元が異なる。DSMは精神疾患を対象にしており、ICDは身体疾患を含めた全疾患をまとめたものである。
- DSMでは一部の精神疾患を除いて診断名で「障害」から「症/群」に変更された。
- つまりは精神疾患があることが「障害」なのではなく、その個人は「症候のある者」と診る姿勢が重要である。
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