この子はできる子!!-能力と心の関係-①
こんにちは、ひろくん@心理士(神経心理学)です。
花粉とんでます。くしゃみが止まりません。みなさんは花粉に負けてないですか?
今回はポテンシャルとパフォーマンスの関係についてどのように捉えていけばよいのかお伝えしたいと思います。
もくじ
ポテンシャルとパフォーマンス
ここではポテンシャルは「潜在能力-持ち合わせている力」とし、パフォーマンスは「行為-能力の発揮」と定義したいと思います。
日々の活動の中で「本当ならこれぐらいできるんだけど。」と思ったり、子どもの様子を見ては「この子は本当はできるから。」と周りに説得したりしていませんでしょうか。
このような考えは、「正しい見方(一側面においては)」ではありますが「適切な見方」ではありません。その理由をまとめていきたいと思います。
力が発揮できない要因
「ほんとうならこれぐらいできるんだけど。」「この子は本当はできるから。」という現象はどういうことが起こっていると思いますでしょうか。
実際に持ち合わせている能力が上手く発揮できない理由にはいくつかの要因が考えられます。
①身体的な要因
怪我や風邪など身体の調子が悪い時はパフォーマンスをうまく発揮することはできません。この要因は想像しやすいと思います。スポーツで足を捻挫したり、靭帯を損傷したりすることで、今までできていた動きができなくなってしまうということはスポーツをやっていた人にとっては日常的にあったと思います。仕事や作業場面においては高熱がある、頭痛がする、脳の疲れなどを経験していると思います。
②環境的な要因
ここでいう環境は自分以外の外的な要因を指します。活動・作業する場、使用する物、周囲の人たちなどが挙げられます。サッカーしたいのにグラウンドのコンディションが整ってない、作業するときにパソコンが上手く起動しない、チームのメンバーが作業に追いついていないなどが考えられます。
③心理的な要因
心理的な要因は一般には「メンタル」などといった表現で形容されていますが、この要因を解きほぐすと、不安、興奮、苛立ち、緊張・弛緩、注意・集中、などといった精神活動が過度に強かったり、不足している状態がパフォーマンスに影響していると考えられます。試験の合格を目指すなかで緊張してしまい思考が働かない、失敗してしまったらどうなるのかと不安になってしまい力が入らないといった経験をしたことがあると思います。
④それぞれの要因が絡み合っている
そしてこれらの要因は常に複合的に関連し合いながらパフォーマンスに影響を与えていきます。
- 怪我(身体的な要因)をしたあとで「また同じように怪我をしてしまうのではないか」と不安(心理的な要因)になってしまい動きが鈍くなってしまう。
- 周囲の音がうるさく(環境的な要因)集中できないため(心理的な要因)作業が進まない。
- 不安や緊張が強く(心理的な要因)腹痛や頭痛が生じてしまい(身体的な要因)動けなくなってしまう
といった形で行動に表れてきます。日常のなかでは、ひとつひとつの要因が独立してパフォーマンスに影響しているのではなく、複合的に絡みあった状態でパフォーマンスに影響を与えていることの方が多いと考えられます。
そのパフォーマンスは本人の地の力なのか?
さまざまな要因により持ち合わせた能力が上手く発揮できない状況を先にお伝えしましたが、その逆もあります。それは、本来の能力以上のパフォーマンスが発揮されている状態です。
スポーツのように普段の練習以上に集中することで(ゾーンや〇〇ハイなどと表現されるかもしれません)いつも以上の活動ができたり、興奮することで痛みを感じなかったり時として良い結果が出せるときがあります。
しかしこの状態は、普段以上に心身ともに負荷をかけてしまいます。一度発揮されたパフォーマンスを目の当たりにした本人や周囲の人は「またあの時と同じように!」と期待してしまいがちとなり、知らないうちにその人にプレッシャーを与えてしまうことがあります。
地の力ではない以上「またあの時と同じように」といったことはなかなか実現できません。ただ望むだけでその時の経験をうまくいかせない場合は空回りしてしまう要因になりかねないため注意が必要です。
状態を客観的に把握することが大切
ともなると、そのときのパフォーマンスはどのように発揮されていたのかを客観的に把握していくことが重要となってきます。
その時の出来事を振り返り、体調はどうだったのか、環境はどうだったのか、心の状態はどうだったのかなど多角的な視点を持ちその時の状態を把握していきます。
なにごとも実行・振り返り(観察からの改善)・再実行が大切になってきます。(ここに実行前の計画が入るとPDCAサイクルに似て来ますが、論点が変わってきますのでここでは省略致します。)
まとめ
- パフォーマンスの発揮には様々な要因が関連している。
- 持ち合わせている能力にたいして常に100%のパフォーマンスが発揮できるとは限らない。逆に持ち合わせている能力以上のパフォーマンスを発揮することもある。
- 地の力以上のパフォーマンスが発揮されてしまうと、次も同じ状態を期待してしまう。場合によっては自身を追い込んでしまう。
- その時の状態を把握するには、多角的な視点から振り返り客観的に把握していく姿勢が大切。
次回は、支援関係を例に能力と心の関係を見ていきたいと思います。
ひろくん@心理士(神経心理学)/@kuroro0829