Therapist-Works

現役心理士がお伝えする心の健康に関する情報発信ブログです!

不安への対処は難しい

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環境が変化するとヒトは不安を感じるものです。進学や就職、現代においてはコロナ禍という大きな生活の変化も不安を与える要因となっています。

今回は生活をするうえで皆さんが必ず感じたことがあるであろう不安についてご紹介したいと思います。

 

不安の原因

不安というものはどこからやってくるのかご存じでしょうか。

この厄介な感情は「未来」からやってきます。

どういうことかというと、人は将来のことを考えて失敗したらどうしよう、間違えたらどうしようとあれこれ予期します。

「仕事のプレゼンが上手くいくかな。」「明日の試験に遅刻したらどうしよう。」そんなことを考えたことはないでしょうか?

そういった未来の悪いイメージを持つときに不安というのはやってきます。

これをもう少し細かく説明すると「今後起こることに対して確証がない」「先が見えない」「悪い結果ばかり考えてしまう」そういった状況の時にこの感情は出てきます。

我々の先祖に当たる原始人は今の時代よりはるかに弱肉強食で一日一日を生き残るのに精一杯でした。そんな時に、外敵から身を守るためには常に危険を回避し安全を確保する必要があります。

そのためには先を予測し、最悪のパターンをイメージしたうえでそれらに遭遇しないための選択をとる必要が出てきます。

この生物的な名残として比較的安全な現代においても自分の身を守る感情のひとつとして不安というものが機能していると考えられます。

 

不安の悪循環

不安が持つもうひとつの特徴として「悪循環に陥りやすい」というのがあります。

悪循環というのは負のスパイラル、不安から抜け出せなくなる状態を言います。

不安を感じる出来事が起こった時に、人の身体はドキドキしたり、息が上がったり体がこわばったりします。

このような身体の反応を感じ取ると「どうしよう」「このままじゃヤバイ」といった考えが浮かび、さらに不安を感じてしまいます。

その不安からさらに身体が反応し、ネガティブな考えも繰り返されてしまい、一層不安から抜け出せなくなってしまいます。

このような悪循環から抜け出すことが不安への対処となっていきます。

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ターゲットを絞った対処

それではそんな悪循環を招いているときにどのような対処法をとればよいかご紹介したいと思います。

①自分の考え方を見直す

自分の頭の中に浮かぶ考えを専門用語で認知(思考)と言います。

この認知を見直すことで不安を軽減していきます。

ヒトは出来事に遭遇すると、頭の中であれこれ考えたり判断します(思考する)。

そしてその思考に感情というものは伴います。

そのため不安な感情になった時にどういったことを考えていたのかを見直し、他にどのように考えることができるかを検討していきます。

コツとして、

  • 信頼のおける先輩ならこういう時に何て言ってくれるか考えてみる
  • 似たような状況でうまくいったときの経験を振り返ってみる
  • 他の人が同じ立場の時自分ならなんと言ってあげるか

などの考え方の工夫があげられます。

考え方を見直す方法について、より詳細を知りたい方は認知行動療法(CBT)の技法のひとつである「認知再構成法」というものを調べてみるといいでしょう。

不安な気持ちが強くなったときには、その気持ちが楽になるにはどのように考えればよいかを検討してみてください。

 

②行動に移してみる

頭の中であれこれ考えていても現実は何も変わらないですし、自分一人で抱え続けるにも限界というものがあります。そのようなときは積極的に行動に移しその気持ちを解消していく方法も有効です。

有効な行動をとることで、ぐるぐるしていた考えもすっきりし、気持ちも楽になることがあります。

不安を乗り越えられたときはどのような行動をとっていたでしょうか。自分に合った行動の選択肢を増やしていくことが大切です。

行動の選択肢としては、

  • 誰かと話をする
  • リハーサルを行う
  • 状況を言語化する
  • ストレス発散をする

などがあげられます。

皆さんはどういった行動の選択肢をお持ちですか?

 

③身体の感覚を和らげる

考え方や行動についてお伝えしましたが、3つ目のポイントは身体の感覚に目を向けます。

不安を感じているときは身体に力が入りっており筋肉がこわばっていることが多いです。また胸がドキドキしたり、胃の不快感を感じたりします。

そのような身体の状態はさらに悪いイメージを助長してしまい、不安の感情も強まってしまいます。

この時の身体の感覚を和らげることで、不安の悪循環を断つという考え方です。

身体の力を抜くリラクゼーションが有効となりますが、皆さんはリラックスする方法をいくつお持ちでしょうか。

アロマや音楽、ストレッチなどはとても有効です。

先ほどご紹介した認知行動療法には専門的な技法として「漸進的筋弛緩法」などもあります。

自分に合ったリラクゼーション方法を増やし、状況に合わせて使い分けていくことで上手に不安に対処していきましょう。

 

選択肢を増やす

不安への対処についてご紹介しましたが、日常生活を送る中でまったく同じ状況や環境に遭遇するということは少ないと思います。

そのため、過去にうまくいった方法が今は上手くいかないといったことも起こります。

その場合はその都度、新しい対処方法を身に着けていくしかありません。

自分のなかにある不安に上手く対処するための選択肢を増やしていくことが大切です。

そうやって少しでも多くの経験を積むことで臨機応変に対応することが徐々にできるようになっていきます。

詰まるところ「最初の一歩」を踏み出す勇気というのが時には大切になるのかもしれませんね。

もちろん、無理をする必要はありません。

いろんな人に協力してもらいながら、少しずつ自分を磨いていけばいいと思います。

 

 

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