この子はできる子!!-能力と心の関係-②
前回はポテンシャルとパフォーマンスの関係について概観しました。
今回は対人場面では能力はどのように発揮されていくのかを「地の力」を中心に考えていきたいと思います。
もくじ
能力に見合った要求の場合
頼まれた仕事内容が普段の作業内容と同等であれば特に抵抗なく受け入れることができると思います。
普段から3件の案件を担当している人が上司から「〇〇さん、今日も3件のお仕事お願いします。」と頼まれてもおおむね問題はないでしょう。
能力に見合っていない要求の場合
逆に、普段以上の作業量を要求された場合、人は心身共に抵抗を示します。「今日は6件頼みますね。」と急に言われたら動揺してしまうと思います。「え、多くない?」と内心思うでしょう。
また実際にいきなり普段以上のことをすれば疲労も強くなります。
普段からその量をこなすだけの技量と体力を持ち合わせていたのであればこのように動揺は少ないと思います。
対人場面では相手との関係も影響してくる
とは言え、人との関係においては自分の能力に見合った関わりを常に続けられるとは限りません。
上司と部下
上司と部下との関係であれば、「信頼関係を壊したくない」「期待に応えなければ」「プライドにかけてやり抜かないと」といった考えが働きやすいと思います。そのような考えが強いと許容範囲外な要求が出た時も無理をしてしまうことが多いと考えられます。
親と子・先生と生徒
子育てや教育などの関係においても同様のことが言えます。
例えば、学校場面で授業態度も良く、内容もしっかりと理解している様子が伺われる生徒に対して、先生が「君はやればもっとできるよ!」と声をかけたとします。
前向きな発言のように思われますが、生徒はどう受け取るのでしょうか。
その要求に対して能力が見合っていれば「よしもっと頑張ろう!」と思うかもしれません。
では、現状が本人にとって精一杯の成果であった場合はどうなるでしょうか。
「こんなに頑張っているのにもっと頑張らないといけないのか!」
「何をどう頑張れって言うんだ!」
と思うかもしれませんね。
「大好きな先生に応援してもらってるから頑張らないと!」と意気込み頑張ること生徒もいるかもしれません。ですが学習への理解や習熟度が増していかなければ疲弊し続けるだけになります。
相手を追い込んでいないか
相手を鼓舞する、その気にさせるつもりで言った言葉が良い方向に働くとは限りません。上の例の生徒のように、パニックになるかもしれないし、無意識に自分を追い込んでしまうこともあります。
無理をしてその場ではできたとしてもそれは長く続きません。本当にできているのか、たまたまできてしまったのか、はたまた無理強いさせていないかなどを、育てる・教える・支援する側の人は常に考える姿勢が大切だと私は考えます。
特定の環境のみでしか能力が発揮できていないときは注意が必要です。
まとめ
- 能力に見合わない要求は心身ともに抵抗を示し疲弊もしやすい
- 人間関係においては無理をさせて(して)しまっていることがある
- 無理をさせて(して)いるかどうかは観察が大切
- 特定の環境のみでしか発揮できていないときは注意が必要
ひろくん@心理士(神経心理学)/@kuroro0829