Therapist-Works

現役心理士がお伝えする心の健康に関する情報発信ブログです!

心理士はどうやって見立てるの?

こんにちは。前回は、心理士は人と関わる時に「観察」「対話」「分析」を繰り返し、人物像を見立てることを話しました。

今回は具体的な見立て方をテーマとしてお伝えしたいと思います。

 

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もくじ

 

 

 心理アセスメントってなんぞ?

心理士の見立てるという行為を「心理アセスメント(心理診断)」と言います。

心理アセスメントでは「面接・行動観察」や「心理検査」を中心に行い、心の状態や特徴を評価し分類していきます。

この心理アセスメントの最大の特徴は、状態を把握することに留まらず、その人に対してより適切な心理学的援助は何かを検討するための資料として生かしていくことにあります。

 

 

要するに情報集め

つまりは、その人についての情報を集め、どのような支援方法が適切なのかを検討していく行為と言うことができます。

 

どのようなところに着目するかというと、

  • これまでの成長の過程
  • 現在の生活の状況
  • 体調や気分
  • 知能や発達面の特徴
  • パーソナリティの特徴や構造
  • 認知機能の特徴
  • 対人関係の特徴
  • 問題の解決の仕方

 

などなどです。総合的にその人を知っていくため様々な側面に着目して情報を収集します。

そして「それらの特徴と本人の抱える困難さの関係」を整理して適切な支援方法を考えていきます。

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情報集めのツールは?

心理アセスメントは「面接・行動観察」と「心理検査」を中心に行っていくことをお伝えしました。

「面接・行動観察」では各側面について適宜お話を進めたり、場面を切り取りその時の行動を観察していきながら整理していきます。

では、心理検査どのようなものを使うのでしょうか?

 

 

心理検査について

「心理士のアイデンティティは?」と聞かれたら僕は「心理検査を活かせること」と答えるかもしれません。

それだけ心理検査は被検査者に利益をもたらしてくれるものと考えています。

心理検査は「発達及び知能検査」「人格検査」「認知機能検査その他の心理検査」に大別されます。(※平成30年度 診療報酬点数より)

 

①発達及び知能検査

その人の成長度合いや知能を測定します。能力のバラつきや得意・不得意を全般的に把握し支援に活かします。

代表的な検査には、ウェクスラー式知能検査、田中ビネー知能検査などがあります。

 

②人格検査

人格の特徴を捉え、自他や社会についてどのように認識し関わっているのかを把握することができます。また自分でも把握できていない深層心理について評価することもでき自分のことを理解していくための資料としても活かされます。

代表的な検査に、ロールシャッハ・テスト、MMPIなどがあります。

 

③認知機能検査その他の心理検査

各脳機能に焦点を当て、その機能がどのように働いているかを把握したり、不安や打つといった気分の状態を評価することができます。

代表的な検査に、HDS-R、内田クレペリン、SDSうつ性自己評価尺度、STAI状態・特性不安検査などがあります。

 

これらの検査は、適宜どのような情報が必要なのかを考え選定していきます。

各検査はそれぞれ特定の側面しか測定することができないことから、いくつかの検査を組み合わせて行うことが多いです。これを「検査バッテリー」と言います。

 

 

集めた情報から必要な支援を検討していく

これまでにお伝えしてきた情報をフル活用し、相手の特徴と困難さの関係を整理していきます。

そして特徴と困難さの関係性を見出したうえで適切な支援方法を検討していきます。

例えば、発達に偏りが見られた場合は、得意な能力を活かしたり苦手な能力をどう補っていくと良いかを考えていきます。

他にもストレスへの対処スキルが乏しいことがわかれば、コーピングスキルについて一緒に検討していくといった方針が立てることもできます。

 

このように支援を行っていく為にはその人のことについて具体的な情報を集めていく取り組みが重要になっていきます。

 

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次回予告

今回はアセスメントについてお伝えしました。

次回は心理検査のひとつである知能検査についてお伝えしたいと思います。