知能検査‐みんな知りたいIQについて
こんにちは、ひろくん@心理士(神経心理学)です。
前回は心理士の「見立て方」についてお伝えしました。
そしてそのツールのひとつには心理検査があり、細かく分類すると「発達及び知能検査」「人格検査」「認知機能検査その他の心理検査」に大別される(※平成30年度 診療報酬点数より)ということをご紹介しました。
今回からはそのうちのひとつである「知能検査」について数回に分けてお伝えしていきたいと思います。
もくじ
そもそもIQってなに~?
「知能検査ってあれでしょ?IQ出すやつでしょ?」と理解されている方が多いと思います。TV番組でも「この問題はIQ120です!」などと紹介されることからIQ自体は世間的にもなじみがあると思います。
では「IQとは何ですか?」と聞かれたときにどのようにお答えしますでしょうか。
「頭の良し悪しでしょ?」と思う方もいらっしゃると思いますがそれは近からず遠からずといった感じです。
IQとは「IQ:Intelligenzquotient」の略称で、別名「知能指数」と言われるものです。
「知能」を数値化したもの。それがIQになります。
IQの見方について
IQの算出方法には代表的な方法が2つあり、
①「生活年齢と精神(知能)年齢の比率」をIQとするもの。
②「同年齢集団内での位置」をIQとするもの。
に大別されます。
①は田中ビネー知能検査などで採用されており、児童の発達を感覚的に把握したい際に有用な知能指数の算出方法です。
その理由としては、出生から成人期に当たるまでは脳は発達していき、身体の成長に比例して知能も伸びていくと考えられます。しかし成人を過ぎると脳の発達スピードはゆっくりとなり、老化とともに少しずつ降下していくと考えられているからです。
そのため、成人以降は年齢に適した知能指数の算出が困難になっていくことから、田中ビネー知能検査では14歳以降は②の算出方法に切り替えるようになっています。
②は別名「偏差知能指数(DIQ:Deviation IQ)」と言います。DIQは同じ年齢集団のなかで自分が相対的にどの位置にあるのかを数値化したものです(標準得点による算出)。
そのため成人以降の知能指数も算出することが可能になります。
ウェクスラー式知能検査などはこのDIQを算出しています。
IQ(DIQ)の分布
知能検査を受けて「検査の結果IQは115でした。」と報告を受けたとします。
この数字はどのような意味を表しているのでしょうか。
先ほどDIQの説明では、同じ年齢集団のなかでどこに位置しているかを示すものとお伝えしました。
「ふむふむ自分は115に位置するのか...ということはどういうこと?」と思うとおもいます。
実は人の知能は特定のパターンで分布していると考えられています。
それが下の図のような、中心が一番人数が多く(ここが母集団の平均になる)端に行くについて減っていく特徴的な分布で、正規分布と言います。
そして一番人数が多い平均の基準値を「100point」として、数値が増減することで人数の割合が減ってくるといった見方をします。
参考として、ウェクスラー式知能検査でIQを算出した場合は以下の図のような割合になると考えられています。
このことから「IQ:115pointは「平均の上」に位置すると考えることができる」ということになります。
高ければよいというものではない
このように話を聞くと「へぇ、なんか人も少ない高IQってやっぱりかっこいいなぁ。IQ上げられないかなぁ。」と思う人もいるかもしれません。
でも、実際にIQが高ければその人は幸せになれるのでしょうか?
私の見解は「YesでもありNoでもある」です。はぐらかしているように見えますがそれなりに理由があったりします。
次回はこの質問の答えである知能と社会のつながりについてお伝えしたいと思います。
この考え方は生活をしていくうえで大変有用になるとおもいます。ぜひご愛読いただければと思います。(※個人的な見解ですので参考程度にご参照ください。)