Therapist-Works

現役心理士がお伝えする心の健康に関する情報発信ブログです!

知能検査-WISC-Ⅳについて①

これまで知能ついて何回かに分けてお伝えしてきました。

今回はいよいよウェクスラー式知能検査のひとつであるWISC-Ⅳについてお話ししていきたいと思います。

 

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ウェクスラー式知能検査ってなぁ~に?

以前にもお伝えしたように知能検査にはいくつか種類がありますが、そもそも知能検査とは、「知能を科学的、客観的に測定すること」を目的として作成された心理検査をいいます。

代表的なものに「田中ビネー知能検査」「ウェクスラー式知能検査」があげられます。

ウェクスラー式知能検査とは、1939年デイビット・ウェクスラーによる「ウェクスラー・ベルビュー知能検査」が発表されたのを皮切りに、1949年に児童向け知能検査WISC(ウィスク)、1955年に成人向け知能検査WAIS(ウェイス)、1966年に幼児向け知能検査WPPSI(ウィプシ)と対象の幅を変えて開発されてきた検査全般を指します。

現在も文化の変化に対応すべく改訂を重ね新盤が発表されており、昨年の2018年の夏には成人用知能検査WAISの第四版(WAIS-Ⅳ)が日本で発表されました。

 

 

ウェクスラー式知能検査の特徴

ウェクスラー式知能検査の最大の特徴は、

「個人の得意・不得意といった認知の特性を客観的に把握できるところ」

にあります。

その結果を一つの資料として活用し、本人が健康的に日常生活を送っていけるための支援方法を検討していきます。

 

 

WISC-Ⅳについて

概要

それではWISC-Ⅳについてです。

先ほど、WISCは児童向けの知能検査であることを紹介しました。

具体的には、5歳0ヶ月~16歳11か月までを対象としており、1回の検査はだいたい60分から90分程とされています。

 

測定内容

WISC-Ⅳは「10の基本検査」と「5つの補助検査」の下位検査により構成されています。

それぞれの下位検査より5つの合成得点が算出され、それらの結果から子どもの知的発達の状態を客観的に把握していきます。

合成得点は全体的な知的機能の状態を示す「全検査IQ」と、言語理解指標(VCI)、知覚推理指標(PRI)、ワーキングメモリー指標(WMI)、処理速度指標(PSI)の4つの指標得点を算出します。

各指標と下位検査の内訳は以下の表のようになります。

 

言語理解指標(VCI)

類似、単語、理解、知識(補助)、語の推理(補助)

知覚推理指標(PRI)

積木模様、絵の概念、行列推理、絵の完成(補助)

ワーキングメモリー指標(WMI)

数唱、語音整列、算数(補助)

処理速度指標(PSI)

符号、記号探し、絵の末梢(補助)

 

これらの下位検査を測定することで各指標を算出することができます。

 

 

まとめ

ウェクスラー式知能検査は、対象年齢の幅に合わせて異なる検査キットを用います。この検査の最大の特徴は能力の得意・不得意を把握し個人の認知特性に合わせて支援方法を検討する資料に活かせることにあります。

次回は各指標がどのような能力を測定しているのかをお伝えしていきたいと思います。

 

引用参考文献

・日本版WISC-Ⅳテクニカルレポート

 

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ひろくん@心理士(神経心理学)/@kuroro0829