Therapist-Works

現役心理士がお伝えする心の健康に関する情報発信ブログです!

トラブル対応が上手い人①

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人が集まるところに問題は生まれる

世の中にはいろんな人がいて、一人一人に異なった生活があります。

 

一方で、所属する社会や文化においては同じような活動を求められる場面も多くあります。職場や学校、活動団体や趣味の集まりなど、人が集まるところには一定の方向性がありその流れに沿って行動をしていきます。

 

そんな集団での活動をするなかでは必ずと言っていいほど何らかの対人トラブルが生じ解決が必要になる場面というものが生じるものです。

 

一人一人が異なる考えを持つ中である程度の足並みをそろえる必要があることを考えると他のグループとの衝突や内部トラブルなどは必然であるということは想像に難しくないと思います。

 

そのような中では問題をうまく解決できる人と、解決ができない人というのは一定の割合で分かれてきます。

 

今回は対人トラブルにおける問題解決を上手く行うために大切な態度や思考方法について2点紹介したいと思います。

 

 

自身の捉われに気づく

さて、まず問題解決をしていくうえで大切になるポイントとして、自分の考えや感情の捉われに気づくというのがあげられます。

 

これは目の前で起こったことに対して何を感じたり考えていたのかといったことに気づくための力を言い、メタ認知という言葉で表現されることもあります。

 

上司にひどく叱られ、自分は悪くないと考えたり怒りを感じ同僚に共感を求めるといったことはないでしょうか。

 

そのような考えや気持ちに捉われ続けていると、上司がなぜ叱ったのかという問題点に目を向けることはなかなかできません。また上司に対してはずっと不快な気持ちを抱いたまま過ごすことになると思います。

 

一方で同じように叱られた同僚は自分の行動を振り返り何が問題だったのかを分析し、深く反省したうえで改善に取り組んでいるかもしれません。

 

この違いは、自分がその時何を考えたり感じていたのかということを自分自身が気づいているかどうかという点です。

 

自分の状態を適切に捉えることができる人は上手にその気持ちをコントロールし、現実的な問題解決に目を向ける状態をつくり出しやすくなります

 

意見が衝突した時や、不快な気持ちになるような場面やトラブルに遭遇した時などに、自分がどのように反応しているのかを俯瞰して把握することで、その時取るべき行動を冷静に考える余裕が出てきます。

 

皆さんは、自分の考えや感情に捉われたまま過ごし何度も同じ反応を繰り返すのと、その時の自分の状態に気付きを気持ちをコントロールするなかで次の行動に移れる人とはどちらが問題解決に近づくことができると思いますか?

 

 

自他の区別

二つ目のポイントは自他の区別をすることです。

 

人間は自分が見ている世界で生きています。これをここでは主観と呼ぶことにします。

 

主観は自分だけが理解できる世界であり、他人にはその世界をのぞくことはできません。ですが、人間は自分が見ている主観の世界を他の人も見ている、同じように理解していると誤解してしまうことが多いです。

 

目の前にあるリンゴを見た時あなたは何をイメージするでしょうか?

 

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赤くて糖度の高いこの果物は多くの人に愛されているかもしれませんが、人によっては嫌いな食べ物であることもあります。

 

つまりリンゴに対して抱いている考えや感情というのは一人一人異なっており、十人十色であるということです。

 

そんなの当たり前だと思うかもしれませんが、これが人間関係に置き換わった時に人はその前提をよく忘れてしまいます。

 

例えば、チームでプロジェクトを進めているときに突然メンバーの一人が「あなたはいつも私の意見を聞き入れてくれない。」「自分勝手だ。」と怒り出したりとします。そのときあなたは「え、さっきまでうなずいて納得してましたよね?」と驚きます。

 

この場面ではお互いに同じ考えを持った上で行動できていたとその人は感じていたようですが相手は不満を抱いていたわけです。

 

これは相手もこう思っているはずだという思い込みから生じたミスコミュニケーションといえます。

 

何かを一緒に進めているときに人は共通理解をしているはずだと勘違いをしてしまいがちです。

 

問題を上手く解決に導ける人は、自分と相手は違うものの味方や捉え方・感じ方をしており、そのどれもが尊重されるものであるということを理解しています。

 

自他の区別がしっかりとできており、適切な距離感・関わり方の中で、お互いの考えを整理することを大切にしています。

 

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そして意見が衝突した際には「自分の意見が正しい」という考えを持つのではなく「相手は違う考えを持っており、その考えに至った背景も違っているはずだ。」といった前提を大切にして、その違いをすり合わせる対応をとることもできます。

 

お互いの考え方や感じ方が違う(自他の区別)ということを理解しておくことで、トラブルが生じたときにどこですれ違いが生じてしまったのかを冷静に見直すことができるわけです。

 

そうすることで問題解決へのきっかけを見いだしていけます。

 

 

行動に移す前に一呼吸

対人トラブルが起こった時、ヒトは感情的になってしまいがちですが、その感情にこそ解決の糸口が隠れています。

 

今回は対人トラブルにおける問題解決を上手く行うコツとして、自分の考えや感情の捉われに気づくこと、自分と他者の違いに気づくことについて説明しました。

 

ちなみに問題の解決を考える時、正しい考えがその集団における正解とは限りません。

 

その考えを周囲は受け入れることができるのか、実現するためのマンパワーや可能性はあるのか、その環境の成熟度に合っているのかなど様々な要因を考慮することが大切です。

(どうしても自分の考えを曲げることができないという場合は、責任がとれる立場に自分がなったうえで行動することが求められることを理解しておかないといけません。しかし行き過ぎはパワハラになるので注意しましょう。)

 

そのためにもまずは自分の考えや気持ちを適切に把握するとともに、自分と相手は異なった考えや気持ちを抱く存在であるということを理解し、お互いの意見を尊重し合う距離感を保ちながら解決策を検討していく関わり方が大切です。

 

気持ちが抑えられないときには一呼吸入れてみたり、自分の状態に気付くためのセリフをつぶやくようにしてみるのも一つの方法です。

 

是非試してみてください。

 

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