共に歩む ~私が大切にしている支援の姿勢~
今回の記事では、心理支援場面において私が普段実践している姿勢や心構えを紹介したいと思います。
安心と安全
対人援助をするなかで「待ってくれて嬉しかった。」という言葉をよく頂くことがあります。
私はこの言葉をその人が感じた安心安全・信頼感を表した言葉として理解します。
例えば、こどもは初めて公園で遊ぶ時には、いったん母親から離れますがすぐに戻ってきます。
そして、それを何度も繰り返すうちに他の子どもたちと一緒に遊び始めることができます。
これは、こどもがそのとき感じた不安や恐怖を母親のところに戻り一度気持ちをリセットする行動として理解することができます。
この行動がとれる基盤には母親に対する安心・安全の気持ちが重要になります。
こどもは母親に対して安心・安全を感じることで、未知の世界に対して積極的に関わる練習をすることができるようになるわけです。
待つこと
現場においては支援者が安心・安全を与える存在として機能します。
支援を受ける人達は様々な困り感を抱えています。
そして常に、不安や緊張、押しつぶされそうなプレッシャーを感じている方が多いです。
この方たちが社会生活に戻るためには多くの挑戦をしていく必要があります。
ですが、そういった取り組みをしているとどこかで心が折れてしまうこともしばしばです。
「どうせよくならない」とやさぐれたり、「この先もうまくいくはずがない」と落胆したり様々な反応を見せます。
そんな時、常に変わらず待ってくれている存在というのはとても励みになります。
ブレない存在がというのはその人にとって道しるべの役割となり、自分のペースで気持ちを整理したり、自分と向き合うきっかけにもなります
人は良く問題を解決するためにアドバイスを求めます。
ですが、アドバイスばかり求め続けているうちは自分の頭で考えて問題を解決する力は身についていきません。
その人の成長をサポートするときには、ただアドバイスをしたり、指導するだけでは効果はあまり望めないと私は考えます。
どんな時もブレずに待ち続け、相手に寄り添い、共に歩んでいく姿勢が支援には大切なのだと考えています。
存在を認めること
ここで一つ注意点ですが、「ぶれない」というのは「動じない」とか「感じない」ということではありません。
「方向性を見失わない」「感情の渦に飲み込まれない」というニュアンスとなります。
その人とやりとりをすることで支援者の心の中でも様々な葛藤が生じます。
そういった心の動きに飲み込まれることなく、常に最終目的地に向けた明かりを灯してあげる関わりが大切になります。
このブレない状態を作るうえで私が大切にしていることが「存在を認めること」です。
対人援助をしていると相手の考えに対して自分の価値観を照らし合わせてその良し悪しを判断してしまうことがよくあります。
支援者も人間ですから、あれこれ考え感情的になることもあります。
ですが、そのまま感情的に関わっていてはその人が成長するためのきっかけをつくり出すことは難しくなってしまいます。
そんな時、私は「この人にはこういう考えがある」「このような背景から今の考えに至っている」と頭の中で唱え、自分と相手は異なる存在であり、お互いの考えは尊重されるものであることを再確認しています。
もちろん、社会的、倫理的、法的に許されない行為を容認するわけではありません。
不適切な行動については指導や訓練をしますが、そこに至るまでの背景や思想については否定をする権利は支援者にはないと自分は考えています。
自分の価値観を押し付けないよう注意を払いながら支援を行うようにしています。
支援現場だけじゃない
私が大切にしている支援の姿勢についていくつかご紹介させていただきました。
他にも多くの心がけがありますがそれはまた後日ご紹介できたらと思います。
ちなみに今回あげたポイントのうちのいくつかは決して支援現場だけに求められるものではないと私は考えています。
普段の仕事場での上司や部下・同僚、家族や友人に対しても良好な関係を築いていくうえで役に立つ考え方だと思います。
人間関係で困った時にぜひ思い出してみて実践してみてください。
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